日本の重症者数の最大値は3千人
- 医療逼迫は人口呼吸器やECMO、ICUの最大値に患者数が近付くか
- 日本のICU相当病床数は1万7000
- 日本の重症者数は最大で3千人で医療資源の2割も使わなかった
医療逼迫は、人口呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)、ICU(集中治療室)などを利用する重症者数のピークが、予め用意してある医療資源の最大値に近付くかどうかで決まります。実際に最大値に近付いたのか検証していきます。
日経新聞によると、2020年5月で厚労省はICU相当病床数が1万7000と公表しています[1]。
グラフの横軸は日ごとの時間推移で2020年1月から2022年12月末まで、縦軸はICU患者数で、日本の場合は重症者数のデータです。日本の重症者数の最大値は、2021年9月ごろの約3千人で、ICU相当の総数の2割にも達しませんでした。
日本とスウェーデンの重症者・死者数数推移比較
- 日本はスウェーデンの1/10以下の人口当り重症者で逼迫?
- 日本の医療の機動性の悪さが逼迫の原因
それでも他の病気もあるのだから逼迫していたとのではと思うかもしれません。しかしもしそうなら、それは行政や医療側の問題です。スウェーデンと比較します。
上のグラフの縦軸は人口当りの新規死者数で、下のグラフの縦軸は人口当りのICU患者数(重症者数)です。
第一波において、日本の死者も重症者数もスウェーデンの1/10以下でした。スウェーデンは第一波においてロックダウンをせずに批判されましたが、医療崩壊はしませんでした。それなのに何故、日本は 1/10 以下の被害で医療逼迫するのでしょうか?
医師の森田洋之先生のアゴラ記事[2]や著書「人は家畜になっても生き残る道を選ぶのか?」[3]に詳しいのですが、日本は一部の病院にコロナ患者を任せてしまっていました。スウェーデンでは逼迫したら他県に患者を移送したり、逆に医療従事者を移動させたりということが行われていたのですが、日本ではそういった機動性が全く無かったことことが書かれています。この機動性の無さが医療逼迫の原因と思われます。
そもそも、呼吸器系疾患で亡くなる方は元から日ごとに500人以上(後述)いるのですから、コロナを5類もしくはそれ以下としておけば、医療逼迫は全く起きなかったと考えています。一般の方、特に飲食店を制限して感染を抑えようというのは本末顛倒です。
またICU患者数(重症者数)のグラフを見ると奇妙なことが分ります。スウェーデンは2021年5月ごろの波までは高かったのですが、その後はその水準になることは無く、2022年3月からはついには発表されなくなりました。一方で日本はどうでしょう。
日本は波ごとに重症者は減るのに死者が増えていく
- どんな死因でもPCR陽性ならコロナ死
- 重症で無くても重症病床に入れれば補助金
- 医療逼迫は医療側が演出
- コロナのための特別な感染者対策の意味は無いし、意味も分っていない
2021年7月からのグラフで見てみます。 日本は2022年の2月や9月の死者が多くなっています。重症者数は逆に少しずつ減っています。実際に重症病床の利用が無くても死者が計上されるということが起きており、これは検査でPCR陽性であれば他の死因であったもコロナ死として報告していることが原因と考えています。また本来、重症病床に入れるほどの症状で無い場合も補助金目当てで重症病床に入れられていると考えています。
医療逼迫の問題は、医療体制に機動性が無いこと、重症で無くても重症病床に入れさえすれば補助金が貰えるということにあると考えています。
つまり医療逼迫は医療側が演出しているだけです。加えて、医療逼迫を防ぐための特別な感染対策だった筈なのに、何を目的として感染対策をしているかほとんどの人が分っていない、これが日本の終らない感染対策の現状だと考えています。
参考文献
- 日本経済新聞, “ICU相当1万7千床 厚労省「人口換算で英仏伊超す」,” 2021/05/07
- 森田 洋之,“「医療崩壊」を叫ぶほどに見えなくなる「日本医療の根本の問題」,” アゴラ記事, 2020/12/09
- 森田 洋之, “人は家畜になっても生き残る道を選ぶのか?,” 南日本ヘルスリサーチラボ, 2022/3/1